突然の離婚宣言、平穏だった日々の崩壊
「離婚してほしい」──妻からのその一言は、Sさんにとって現実とは思えないほど突然でした。
結婚して数年、子どもにも恵まれ、家庭としては特に大きな問題があるようには見えなかったからです。
もちろん夫婦間の意見の違いや言い合いはありました。しかし、まさか妻の口から「離婚」という言葉が出るなんて、Sさんは思ってもいなかったようです。
最初は戸惑い、何度も話し合いを試みました。けれど妻の意思は固く、すでに離婚協議書まで準備していたのです。
話し合いは次第に激しくなり、口論になるたび、幼い子どもが泣き出す。
そんな状況が繰り返され、Sさんの中に「このままで本当にいいのか」という迷いが芽生えていきました。
妻の行動に潜む違和感と父としての葛藤
妻は一方的に別居に向けた準備も進めており、ある日突然「2か月後には別居します」と通告してくるほどの勢いでした。
そんな妻の態度にSさんは違和感を覚えるようになります。
「もしかして浮気をしているのではないか?」そう思ったきっかけは、妻がたびたび深夜に帰宅すること。
理由を聞いても「友達の相談に乗っていた」「友達の家に遊びに行っていた」など、曖昧な返答ばかりでした。
また、子どもの迎えをSさんに任せる日が何度かあり、その日ばかりは帰りが特に遅い。こうした点にも引っかかりを感じるようになりました。
自分で尾行してみようと考えていたそうです。
けれど仕事が忙しく時間が取れないことや、証拠をしっかり撮れるかどうかの不安もあり、プロに依頼することを決意。相談室に来られたSさんは、淡々と、しかしどこか悲しげな表情で話をしてくださいました。
妻が「仕事で遅くなる」といい、Sさんに子どものお迎えを頼んだ日に調査することになりました。
浮かび上がる裏切りの真実とラブホテルの記録
調査当日、私たちは朝から自宅近くで張り込みを開始。
まず確認できたのは、妻が子どもを車に乗せて保育園まで送り届けた場面。その後、スーパーの駐車場に車を停め、車内で待っていた様子。
数分後、40代半ばほどの男性が運転する車が現れると、妻は自分の車を離れ、その男性の車に乗り換え走り出しました。
到着した先はラブホテル。
その後5時間ほど滞在し、再びホテルから出てきた二人は食事をとり、公園の駐車場で談笑。時間を惜しむように過ごす様子が窺えました。
その数日後、別日にも同様の行動を確認。妻は明らかに、Sさんには「仕事」と偽り、男性と逢瀬を重ねていたのです。
「何が本当で、何が嘘だったのか」心の底から湧いた怒りと虚しさ
調査報告を受けたSさんは、静かに、けれど確実に感情を揺らされているようでした。
「仕事に行くって言って、ホテルに行ってたんですね……」と静かにつぶやきました。
その後、「離婚したいって気持ちは、もう仕方ないかもしれない。でも、嘘までついて、こんなことされるなんて……正直、悔しいし腹立たしいです」とSさんは話されました。その表情からは深い疲れと複雑な心境が伺えました。
当初は子どもの親権を取りたいと強く思っていたそうです。しかし、自分の仕事の時間が長く、育児に十分な時間を割けないことも現実でした。
浮気していることは判明しましたが、妻が子どもに愛情を注いでいることは感じ取れていたため、「無理に奪うようなことはしたくない」と、親権を譲る決断をされました。
真実を知った先に選んだ「子どもの幸せ」という答え
私たち探偵の仕事は、真実を突き止めるだけではありません。
依頼者の「これから」に、少しでも前を向ける材料を残すこと。それが本当の意味での支援だと、私たちは考えています。
Sさんは後日、妻に対して浮気の事実を問いただしました。妻は謝罪はしなかったものの、事実を否定することなく認めたとのことです。
Sさんは「子どもの生活を第一に考えた」として、妻への慰謝料請求は行いませんでした。代わりに、浮気相手の男性に対して慰謝料を求める形をとりました。
現在、Sさんと奥さまは離婚が成立し、それぞれ新しい生活を始められています。夫婦としての形は変わりましたが、子どもの将来を最優先に考え、親としての責任を共有し続けようとしている姿に、私たちも胸を打たれました。
離婚という結果になったとしても、完全に心の整理がつくまでには時間がかかることでしょう。
Sさんのように「子どものため」を第一に考えて決断される依頼者の方を拝見すると、私たち探偵としても非常に意義深いケースであったと感じています。
浮気調査の結果が、必ずしも復讐や争いにつながるのではなく、建設的な解決方法を見つけるための手段となることもあるのです。



おかげで目指していたゴールへたどり着けそうです。
ありがとうございました。